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Kimi K3.1 Pro発表、サイバー関連データを除去

Moonshot AIがオープンウェイトの「Kimi K3.1 Pro」を発表。Terminal-Bench 4.0は65.7%、重みは11月4日までに公開予定。公式ブログとITmediaの報道から数字と未確認点を整理します。

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3兆パラメータ級のオープンウェイト、Kimi K3.1 Proはサイバー関連データを除いて学習

中国のMoonshot AIが、オープンウェイトのAIモデル「Kimi K3.1 Pro」を発表しました。ITmedia AI+の記事(2026年10月26日付)によると、発表は現地時間の10月23日で、前世代の「Kimi K3」に事後学習を施したモデルです。コーディングや3Dモデルの造形、財務関連の業務を強化したとされています。ITmedia AI+によれば総パラメータは2.8兆、アクティブパラメータは1040億です。公式ブログは「3T-class open-weight model」と説明し、コンテキスト長は100万トークン、重みは2026年11月4日までに公開する予定だと書いています。この記事では、公式ブログとITmedia AI+の報道から、確認できる数字と、まだ分からない点を分けて整理します。

Terminal-Bench 4.0は65.7%、GPT-6 Astraを上回りOpus 5.5に迫る

公式ブログに載っている主なベンチマークは次のとおりです。いずれもMoonshot AIが公表した数値で、第三者による検証結果ではありません。

Kimi K3.1 Proの主なベンチマーク(公式ブログ)
ベンチマーク K3.1 Pro 比較対象
Terminal-Bench 4.0 65.7% GPT-6 Astra 58.2%、Claude Opus 5.5 66.4%
Kimi Code Bench 3.0(長期タスク) 61.2% K3 55.95%
BenchCAD(ツールあり) 92.7 Opus 5.5 96.2、GPT-6 Astra 95.9
Hallu Bench Hard(ツールあり、幻覚率) 8.3% K3 23.4%、Opus 5.5 15.0%、GPT-6 Astra 5.5%

ITmedia AI+は、Terminal-Bench 4.0でGPT-6 Astraを上回り、Opus 5.5に迫ると伝えており、上回るのは一部の性能評価だとしています。また、同記事はArtificial Analysisの「Intelligence Index」で55ポイント、全体4位とも報じています(重みの公開後は、オープンモデルで首位になる見通しとされています)。BenchCADの「ツールあり」ではOpus 5.5やGPT-6 Astraのほうが上で、すべての項目で上回っているわけではない点は、表の数字から読み取れます。一方、公式ブログによると、ツールなしのBenchCADではOpus 5.5が73.0、K3.1 Proが72.8とほぼ並び、ツールありでもClaude Fable 5.1(92.6)は上回っています。なお、Kimi Code Bench 3.0はMoonshot AI社内のベンチマークです。

幻覚率の数字にも注意が必要です。公式ブログは、Hallu Bench Hardは厳しい条件での試験結果であり、日常的な誤りの率を示すものではないと注記しています。K3の23.4%から8.3%へ下がったことは大きな改善ですが、「普段の使用で誤りが8.3%」と読むのは正確ではありません。

サイバー関連データを学習から外し、公開する重みに上限を設ける方針

今回の発表で目を引くのは、悪用を防ぐために、サイバー関連のデータを学習から取り除いたという点です。公式ブログによると、中間学習(mid-training)と強化学習の両段階から、サイバー関連のデータを除きました。一般的なコーディングのタスクは残しています。

効果の目安として、公式ブログは社内ベンチマーク「xdev-bench-hard」(pass@3)の結果を挙げています。サイバーリスク低減を施していないKimiのモデルが90.5%、最終版のK3.1 Proが81.0%で、比較としてK3は33.3%、GLM-5.3は57.1%、DeepSeek-V4.1-Flashは85.7%、第三者評価のGPT-5.6 Solは100問中100問です。公式は、K3.1 Proのサイバー能力は公開から3か月以上たった最先端のクローズドモデルより下だとも書いています。公開方針については、サイバー攻撃の能力を最先端の水準まで押し上げるオープンウェイトは出さないとし、将来的には公開重みのサイバー能力を段階的に引き上げる方針も示しています。

公式の数字を見るかぎり、サイバー能力を完全に消したのではなく、最先端の水準には出さないという線引きだと読めます。この除去が実際にどこまで悪用を防ぐのかは、重みが公開されたあとの第三者による検証が必要です。

API料金は入力2ドル・出力10ドル、Highspeed版も同時公開

公式ブログによると、K3.1 Proは次の経路で使えます。

  • Kimi.aiとモバイルアプリ
  • Kimi Work(バージョン3.1.0以降のデスクトップアプリ。Windows、Apple silicon Mac)
  • Kimi Code(/model コマンドでK3.1 Proを選択)
  • API(モデル名は kimi-k3.1-pro。ゼロデータ保持に対応)
  • Kimi Business(企業の管理者が組織ごとに有効化。既定ではオフ)

同時に、2〜3倍の速度をうたう高速版「Kimi K3.1 Pro Highspeed」(API上のモデル名は kimi-k3.1-pro-highspeed)も発表されました。API料金は、公式ブログのこのページには書かれていません。ITmedia AI+は、通常版が100万トークンあたり入力2ドル・出力10ドルでK3から値下げ、Highspeed版は通常版の2倍と報じています。また、Artificial Analysisによる1タスクあたりのコストは、出力トークン数が増えたためK3とほぼ同等の1.98ドルとも伝えています。実際に使う前には、Kimiの公式APIプラットフォームで最新の料金を確認してください。

重みの公開は11月4日まで、ライセンスは未発表

公式ブログにもITmedia AI+にも、重みのライセンスについての記述は見当たりませんでした。企業で使う場合は、商用利用の可否や再配布の条件が分からないうちは、導入の判断ができません。11月4日までの公開を待ち、ライセンスの全文を読んでから検討するのが妥当だと考えます。また、日本語の性能について、今回確認できた資料には記載がありません。

個人的に注目したいのは、性能を伸ばしながらも、公開する重みのサイバー能力には「最先端を超えない」という上限を自ら設けた点です。一般論として、オープンウェイトは公開後に誰でも追加学習できるため、この線引きがどこまで保たれるかは、重みの公開後の検証を待つ必要があります。仕事で試すなら、まずはKimi.aiやAPIで、自分の業務に近いコーディングや資料作成の課題を少量流し、日本語での出力の質とコストを確かめるのが現実的です。社内導入の判断は、11月4日までに出る予定のライセンスを確認してからでも遅くありません。

参考にした情報

2026年10月26日時点の情報です。

本記事は一般的な情報の提供を目的としています。AIのサービス・機能・料金・仕様は頻繁に更新されるため、最新の内容は各社の公式ドキュメントでご確認ください。「筆者の見解」は一つの考え方です。