プロンプト技術

システムプロンプトとはAIの役割・ルール・口調を事前に設定する指示の書き方

システムプロンプトは、会話の前提となる役割・ルール・口調・制約をAIに設定する指示です。ユーザープロンプトとの違い、書くべき内容、書き方のコツ、具体例、CLAUDE.mdやカスタム指示との関係、機密情報の扱いを整理します。

公的機関・公式資料などの一次情報と照合して作成しています。このサイトについて

システムプロンプトとは

システムプロンプト(system prompt)は、AIとの会話全体に通じる前提(役割・ルール・口調・制約・背景)を、あらかじめ設定する指示です。利用者が毎回入力する質問(ユーザープロンプト)とは区別され、AIの基本的な振る舞いを決める役割を持ちます。API利用では、専用の欄(systemなど)が用意されており、チャット系のサービスでは、カスタム指示・プロジェクトの指示などの名称で、同様の機能が提供されています(カスタムGPT・プロジェクト機能)。

ユーザープロンプトとの違い

項目 システムプロンプト ユーザープロンプト
役割 全体の方針・前提・ルール その時々の具体的な依頼
設定する人 開発者・サービス提供者・利用者(設定機能で) 利用者
頻度 会話の最初に一度、または固定 毎回
内容の例 「あなたは丁寧なサポート担当です」「回答は200字以内」 「この返品の問い合わせに返信して」
優先度 一般に、全体の方針として尊重される 個別の依頼

システムプロンプトの内容が、ユーザーの要求と衝突した場合の扱いは、提供元のルールによります。

何を書くか

項目 内容 例
役割・人格 AIの立場と、口調 「あなたは、親切で簡潔なITサポート担当です」
目的・対象 誰に、何を提供するか 「社内の新入社員向けのFAQです」
知識・前提 参照すべき情報、前提となる事実 「製品名は〇〇、対応時間は平日9〜18時」
ルール・制約 守るべきこと、してはいけないこと 「個人情報は求めない」「不明な点は担当者に確認するよう案内」
回答の形式 構成、長さ、言語 「箇条書きで3点以内」
例 望ましいやり取りの見本 質問と回答の例(Few-shotプロンプト)
困ったときの対応 分からない場合、範囲外の質問の扱い 「分からない場合は、推測せずその旨を伝える」

書き方のコツ

コツ 内容
具体的に書く 「親切に」より、「相手の質問を一度言い換えて確認してから答える」など行動で示す
優先順位を明確にする 重要なルールは、目立つ位置に書く
肯定形で書く 「〜しないで」より、「〜してください」のほうが伝わりやすい(否定表現と制約の書き方)
構造化する 見出しや箇条書き、タグで整理する(良いプロンプトの構造、XMLタグで構造化する)
理由を添える ルールの目的を書くと、応用が利く
短く保つ 不要な内容を削る。長すぎると守られない項目が出る
テストして改善する 想定外の入力でも、期待どおり動くか確かめる(プロンプトの評価方法)

システムプロンプトの具体例

社内のFAQ用アシスタントの設定例:

あなたは、株式会社〇〇の社内ヘルプデスクのアシスタントです。

# 目的
従業員のIT関連の質問に、分かりやすく答えること。

# ルール
- 回答は、提供された社内マニュアルの内容に基づくこと。
- マニュアルに記載がない場合は、推測せず「担当部署に確認してください」と案内すること。
- パスワードなどの秘密情報は、入力しないよう案内すること。

# 回答形式
- 手順は番号付きリストで示す。
- 専門用語には、簡単な説明を添える。

他の仕組みとの関係

仕組み 関係
カスタム指示・プロジェクトの指示 チャットサービスで、システムプロンプトに近い設定を行う機能(第7回 プロジェクト機能で資料を使い回す)
CLAUDE.md Claude Codeで、プロジェクト固有の指示を読み込ませるファイル(CLAUDE.mdの書き方)
エージェントの設定 エージェントの役割や許可する行動を指示する(AIエージェントとは)

システムプロンプトの注意点

注意点 内容
完全には守られない 複雑な指示や、巧妙なユーザー入力により、守られない場合がある(プロンプトインジェクション)
機密情報の記載 システムプロンプトの内容は、ユーザーに引き出される場合があるため、秘密情報を書かない
長すぎる指示 指示が多すぎると、一部が無視されやすくなる
更新の管理 変更履歴を管理し、効果を比較する
法令・規約 提供元の利用規約・ポリシーに従う

システムプロンプトはセキュリティの境界ではありません。重要な制限は、システムプロンプトだけに頼らず、システム側(権限・検証)でも担保します(ガードレール)。

システムプロンプトのFAQ(よくある質問)

Q. システムプロンプトは、ユーザーに見えますか?
A. 通常は見えませんが、巧みな質問で内容が引き出される場合があります。秘密情報は書かないでください。

Q. チャット画面でも設定できますか?
A. サービスによって、カスタム指示・プロジェクト指示などの名称で用意されています。

Q. システムプロンプトは、長いほどよいですか?
A. いいえ。重要な点に絞り、簡潔にするほうが守られやすいです。

筆者の見解(システムプロンプト)

システムプロンプトは、「新人研修で渡す、業務マニュアルの要約」のようなものだと考えます。毎回同じことを説明する手間を省き、一貫した対応を実現します。ただし、マニュアルを渡しても、新人が100%守るとは限らないのと同じで、重要な制限は仕組みの側でも守る、という二重の備えが大切です。

システムプロンプトの関連項目

出典(一次情報)

本記事は一般的な情報の提供を目的としています。AIのサービス・機能・料金・仕様は頻繁に更新されるため、最新の内容は各社の公式ドキュメントでご確認ください。「筆者の見解」は一つの考え方です。