プロンプト技術

Chain-of-Thought(思考の連鎖)とは段階的に考えさせて精度を上げる方法

Chain-of-Thought(CoT)は、AIに結論だけでなく途中の考え方も段階的に出力させる手法です。効果が出る課題、書き方の例(「ステップごとに考えて」)、推論モデルとの関係、注意点(思考の信頼性・費用)を整理します。

公的機関・公式資料などの一次情報と照合して作成しています。このサイトについて

Chain-of-Thoughtとは

Chain-of-Thought(CoT、思考の連鎖)は、AIに、答えだけでなく、そこに至る途中の考え方や計算を、段階的に書かせるプロンプト技術です。2022年の研究で、複雑な問題で、途中の推論ステップを書かせると、正答率が大きく向上することが報告され、広く知られるようになりました。「ステップごとに考えてください」と添えるだけで、効果が出る場合があります(プロンプトの基本)。

なぜ効果があるのか

LLMは、次のトークンを順に生成する仕組みです(大規模言語モデル(LLM)とは)。複雑な問題で、いきなり結論を出そうとすると、途中の処理を飛ばして誤りやすくなります。途中の考えを文章として書き出すことで、その内容が次の生成の手がかり(文脈)となり、結論に至るまでの誤りが減ると考えられています。人間が、頭の中だけで暗算するより、紙に書きながら計算するほうが正確なのと似ています。

効果が出やすい課題

課題 例
算数・数学の文章題 複数の数量が絡む計算
論理パズル 条件を順に満たしていく問題
多段階の推論 複数の事実をつなげて結論を導く
計画・手順の立案 制約を考慮した、段取りの検討
複雑な分析・比較 複数の観点から、評価する

単純な事実の質問や、短い文章作成では、効果が小さいことが多いです。

書き方の例

簡単な指示(ゼロショットCoT)

次の問題を解いてください。答えを出す前に、考え方を順序立てて書いてください。

問題:りんご3個とみかん5個を買い、1000円を出したらおつりが300円でした。みかん1個がりんご1個より20円安いとき、りんご1個の値段はいくらですか。

構造化した指示(思考と答えを分ける)

まず<thinking>タグの中で、条件を整理し、手順を追って考えてください。
その後、<answer>タグの中に、最終的な答えだけを書いてください。

思考と最終回答を分けて出力させると、後から回答部分だけを取り出すのが容易になります(XMLタグで構造化する)。

推論モデルとの関係

最近の推論モデルは、内部で段階的に考える処理を、あらかじめ組み込んだモデルです(推論モデル(思考するAI)、拡張思考(thinking)の使い方)。こうしたモデルでは、「ステップごとに考えて」と書かなくても、内部で考えてくれます。むしろ、詳細な思考手順を指示しすぎると、かえって精度が落ちる場合があるとされています。提供元のドキュメントで、推奨される使い方を確認してください。

モデルの種類 CoTの指示
通常のモデル 効果が出ることが多い
推論モデル 不要、または簡潔な指示にとどめる

Chain-of-Thoughtの注意点

注意点 内容
費用・時間 思考分の出力が増え、費用と時間が増える
思考の信頼性 書かれた思考の過程が、実際の内部計算を忠実に反映しているとは限らない
誤りの連鎖 途中で誤ると、その誤りが、後の推論に引き継がれる
簡単な課題では不要 簡単な課題に使うと、冗長になる
最終確認は人間が 思考が丁寧でも、結論の正しさは、検証する(ハルシネーション)

検証との組み合わせ

CoTで考えさせたあと、「答えを検算してください」「別の方法で確認してください」と追加で依頼すると、誤りに気づける場合があります。複数回生成して、多数決を取る方法(自己整合性)もあります(自己整合性・複数回生成)。

Chain-of-Thoughtの具体例

「A社とB社のプランを、料金・サポート・拡張性の3点で比較し、当社に合う方を選んで」と頼む場合、「まず各観点で両社を比較し、次に当社の条件を踏まえて、総合判断してください」と、考える順序を指示すると、根拠が見える形で結論が得られます。結論だけでなく、判断の根拠を人間が検証できる点も、CoTの価値です。

Chain-of-ThoughtのFAQ(よくある質問)

Q. 「ステップごとに考えて」は、必ず効果がありますか?
A. 課題とモデルによります。複雑な課題で有効なことが多い一方、推論モデルや簡単な課題では、効果が小さい場合があります。

Q. 思考の過程は、全部読む必要がありますか?
A. 重要な判断では、根拠を確認するために読む価値があります。

Q. CoTは、ハルシネーションを防げますか?
A. 論理的な誤りを減らす助けになりますが、事実の誤りは防げません。

筆者の見解(Chain-of-Thought)

CoTの価値は、精度の向上だけでなく、「考え方が見える」ことにあると感じます。結論だけを渡されると、鵜呑みにするか疑うかの二択になりますが、根拠が見えると、「ここは違う」と部分的に修正できます。AIと協働して考えるための、基本的な作法と考えています。

Chain-of-Thoughtの関連項目

出典(一次情報)

本記事は一般的な情報の提供を目的としています。AIのサービス・機能・料金・仕様は頻繁に更新されるため、最新の内容は各社の公式ドキュメントでご確認ください。「筆者の見解」は一つの考え方です。